eスポーツ施設が各地に 最高のPC環境で真剣競技
8日は体育の日。健康のため、ストレス解消のため、スポーツで汗を流す人も多いだろう。“スポーツ”の中でも今年、急速に認知度が上がったのが、パソコンゲームなどで対戦し勝敗を決めるeスポーツだ。世界の競技人口は4億人に達するとされ、先月のアジア大会では日本人ペアが金メダルを獲得、来年の国体の文化プログラムにも採用された。各地に専用施設も増えている。(櫛田寿宏)
3時間1千円
「家では実現できない快適なパソコン環境です。しかも料金が手頃なのがうれしい」。東京都豊島区東池袋に今年4月オープンした国内最大級のeスポーツ施設「LFS(ルフス)池袋eスポーツアリーナ」。週に何度か利用するという都内の高校2年生、リョウさんは、そう魅力を説明する。
高性能なパソコンに加え、モニター画面に映し出される映像も普通の液晶テレビよりはるかに滑らかな動き。ゲームに集中できるよう座り心地の良い椅子や操作しやすいキーボードも用意され、eスポーツを堪能する環境が整っている。これを3時間1千円で利用できる。
施設を運営するE5(イーファイブ)eスポーツワークスの長縄(ながなわ)実社長は「競技場であることを強調するため、食べ物の持ち込みを禁止して普通のインターネットカフェと差別化を図っています」と話す。
プロ参加の大会も
LFS池袋では、大規模なeスポーツの大会が開催される。9月29、30両日、対戦ゲーム「カウンターストライク」の全国大会「GALLERIA(ガレリア)ゲームマスターカップ2018」が開催され、プロ集団のチーム「SCARZ Absolute(スカーズアブソリュート)」が2連覇を果たした。同チームのリーダー、Laz(ラズ)さんは「大会の1カ月以上前から緊張感が出ていたので、ホッとしています」と語った。優勝で賞金100万円と2つの国際大会への出場権を手にした。
試合中、解説者を交えた実況放送も行われるため、それが聞こえないよう競技者はガラスのブースに入り、ヘッドホンも装着。審判がいて、“ラフプレー”やマナー違反があると試合を止め、注意するなどして競技としての健全性を担保している。
台風24号が関東地方に接近していたにもかかわらず、eスポーツファンら延べ約300人が詰めかけ、ステージに設置された140インチのモニターを見つめながら声援を送った。また、試合の模様はインターネットで配信され、国内外のファンが視聴した。
プロのゲーミングチーム「戦国ゲーミング」が直営し、選手がスタッフとして働く施設も現れた。福岡県筑紫野市の「SG.LAN(エスジーラン)」で、パソコン40台を備える。今年6月のオープン直後から盛況で、中国、韓国からの観光客や留学生を対象にした店舗展開も視野に入る。
チームの代表は、「トップを目指す人の『もっとうまくなりたい』という気持ちに応えていきたい」と話している。
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■対戦ゲームは「スポーツ」5%
10代男性の趣味の1番人気はゲーム-。調査会社「クロス・マーケティング」が行ったeスポーツに関する調査では、ゲームは旅行に次ぐ2番人気の趣味だが、年代別にみると、10代男性は6割以上がゲームと答えトップに。10代女性も4割強に上り、若い世代にとってゲームは何より身近な娯楽であることが浮き彫りになった。
調査は今年5月中旬にインターネットを通じて実施。全国の15~49歳の男女1万2633人からサンプルを回収した。それによると、eスポーツの大会に参加したことがある人は5.8%。女性は6.2%で、5.5%の男性よりも多かった。
一方、オンラインの対戦ゲームを「スポーツ」だと思っている人は5%にとどまり、「eスポーツ」の一般的な認識は微妙な結果となった。
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