「月80時間超す残業」企業が23% 初の過労死白書を閣議決定
政府は7日、過労死等防止対策推進法に基づく初めての「過労死等防止対策白書」を閣議決定した。過労死ラインとされる月80時間を超えて残業をした正社員がいる企業が23%に上るといった長時間労働の実態、2015年度に過労死、過労自殺(未遂含む)の労災認定がそれぞれ96件と93件あったとのデータなどを盛り込み、法制定の経緯や関係法令を収録した。
塩崎恭久厚生労働相は記者会見で「過労死をゼロにするという使命感を持ち、対策に全力で取り組む」と強調。法成立に尽力した「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表は取材に、「公式な白書という具体的な形をまとめたことは評価したい。個別事案の背景などをもっと掘り下げ、具体的な対策につなげてほしい」と訴えた。
白書には、厚生労働省が過労死の実態解明のため外部に委託し15年12月~16年1月にかけて企業約1万社(回答1743件)、労働者約2万人(回答1万9583件)に実施したアンケート結果が盛り込まれた。それによると、正社員の残業時間が最も長かった月が「80時間超100時間以下」と回答した企業が全体の11%、「100時間超」が12%だった。
過労自殺の労災認定は未遂も含め93件だった一方、勤務問題を原因の一つとする自殺は15年に2159件あったとする警察庁や内閣府のデータも掲載。労災認定が氷山の一角であることを改めて示している。
過労死防止法は14年11月に施行され、過労死対策を国の責務と定めた。過労死の状況や施策について国会へ報告することを政府に義務付けている。
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