子供の野菜嫌いを解消するコツ 調理は苦手な理由に合わせて

 

 ピーマンやトマトなど野菜が嫌いな子供は少なくない。しかし、味付けや調理法を工夫すれば、食べられるようになることもある。専門家に子供の野菜嫌いを解消するコツを聞いた。(油原聡子)

 「緑色が怖い」

 「好き嫌いなく食べてほしいのですが」

 東京都板橋区の会社員の女性(45)は、長女(5)の野菜嫌いに悩んでいる。

 「緑色が怖い」とピーマンや葉物野菜を受け付けない長女。それなら、と細かく刻んだピーマンをハンバーグに混ぜてみたが、「苦い…」と食べなかった。

 トマトも酸っぱいものは吐き出し、皮付きのナスのみそ汁にも手を付けない。

 「保育園からも注意されているが、どうしたらいいのか」とため息をつく。

 味覚が発達途中

 「子供の味覚は発達途中。酸味や苦味が苦手なので、野菜嫌いになりがちです」。子供の食育に詳しい管理栄養士の太田百合子さんはこう話す。

 太田さんによると、味覚の発達は生後3~5カ月頃に始まり、経験を重ねながら10歳頃まで続く。

 乳幼児は、体に必要な炭水化物やタンパク質には、「甘味」や「うまみ」があるので好む一方、酸味は「腐っている」、苦味は「毒」と感じてしまう。色味も好き嫌いに関わっており、緑や黒の食材を嫌う傾向にある。また、のみ込みにくいパサパサしたものも苦手という。

 「トマトは、酸味の強い種の部分が苦手なことが多い。セロリやピーマンの苦味やえぐみも嫌われます」と太田さん。

 では、野菜嫌いを解消するのには、どうしたら良いのか。

 「食感や味など苦手な理由を解消するように調理すると食べやすくなります」と話すのは、日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエ、福島玲子さんだ。

 トマトには蜂蜜をかけると酸味が和らぐ。ナスの軟らかい食感が苦手なら縦に薄く切り、チーズを載せて焼くと、パリッとした食感とチーズの濃厚な味わいで食べやすくなる。

 野菜嫌いに対応した食材のセットも登場している。

 食品販売サイト「オイシックス」(東京都品川区)は9月下旬、レシピと食材がセットになった「キットオイシックス」の子供向けメニューを刷新。キャベツのあえ物にはノリを混ぜ、うまみを加えることで食べやすくするなど工夫した。

 同社のサービス進化室、上堀宇花さんは「野菜の大きさを小さくしたり、軟らかくしたり、まずは食べられるようにするレシピにした」と話す。

 楽しい時間に

 食事をする上で大切なことの一つが楽しむこと。嫌いなものが食べられたときには「すごいね」とほめるとよい。また、調理の手伝いを通して食に興味を持つこともある。「自分が関わると、おいしく食べられる。積極的に手伝ってもらうといい」と太田さん。

 ただし、苦手意識が強いときは、無理に食べさせない方がいい。嫌な思い出になって余計に食べなくなるからだ。子供に分からないよう他の食材に混ぜると、「だまされた」と逆効果になることも。

 太田さんは「自然に食べられるようになることも多い。周囲がおいしそうに食べる様子を見せることが大切」としている。

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 ■「嫌い」1位はセロリ

 子供の野菜嫌いを直したいと思っている親が9割を超えることが大塚食品(大阪市中央区)の調査で分かった。今年6月、3歳から小学生の子供を持つ母親約500人が回答した。

 それによると、子供の野菜嫌いを直したいという母親は、95.5%に上った。子供の嫌いな野菜は、セロリ(29.7%)がトップ。ピーマン(21.6%)、ナス(15.9%)、トマト(12.8%)と続いた。