残業時間、上限を検討 働き方改革会議が初会合
政府は27日、残業規制を強化する長時間労働抑制やパートなど非正規労働者の処遇改善といった「働き方改革」に向け、関係閣僚や有識者による「実現会議」(議長・安倍晋三首相)の初会合を開いた。来年3月をめどに実行計画を取りまとめる。安倍政権が推進するアベノミクスの失速が指摘される中、労働現場の懸案に実効性がある政策を打ち出せるかが焦点だ。
首相は8月の内閣再改造後の記者会見で、働き方改革を「最大のチャレンジ」と位置付け、「非正規(労働者)という言葉を一掃する」「長時間労働の慣行を断ち切る」と強調した。
長時間労働の抑制は、労働基準法が定めた残業に関する労使協定(三六協定)の見直しが課題となる。現在は労使が合意すれば事実上残業が無制限となるため、上限の設定を検討する。自民党内には超過した場合の罰則を求める声もある。
政府によると、日本で働く人の2014年の労働時間は平均1729時間。ドイツやフランスは300時間前後少ない。
長時間になりがちな働き方が育児や介護など生活との両立を妨げ、女性や高齢者が働き続けることを阻害したり、少子化や生産性低下につながったりしているとの指摘がある。政府は1人当たりの生産性の向上が人口減少下での経済成長に不可欠だとしている。
正社員と非正規との不合理な待遇格差をなくす「同一労働同一賃金」の実現も目指す。厚生労働省は企業向けの指針を年内に策定する。関係法の改正も念頭に置く。
柔軟な働き方ができる環境づくりも進める。65歳以上の継続雇用・定年延長に取り組む企業への支援や、ITを活用して在宅勤務をするテレワークの拡大、がんなど病気の治療と仕事が両立できる環境を整備する。返済不要の「給付型奨学金」の創設や、外国人材の受け入れも議論する。実現会議は月1回程度開催する。
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