天下の回りもの? なぜ東京都民は長野県民の2倍もビニ傘を買うのか
提供:PRESIDENT Onlineもうじき梅雨が明ける。傘いらずの季節がやってくるのは、傘をなくしてがちな人にとっては朗報だろう。だって、紛失するごとに出先でビニール傘を買わなくてもいいのだから--。
インターネット調査会社マーシュの調査によれば、2015年調査当時、「過去1年以内にビニ傘を購入した人」は約3割。その中で、ビニ傘を2本以上保有している人は8割弱いた。ほとんどがビニ傘を1本持ちつつ、突然の雨などでもう1本買い足しているようだ。
急場しのぎで買ったビニ傘は、どんどん買い換えられる。
同社の調査では、ビニ傘を手放すタイミングは「外出中に紛失」する人が3人に1人、「盗まれる」または「紛失する」のいずれかの経験がある人が半数近くという結果だ。
確かに、盗難する人からすれば、店先の傘立てにビニ傘があれば、その値段の安さから軽い気持ちで“拝借”してしまえるのかもしれない。また、「ビニ傘は安いからなくしてもいい」(不動産会社営業・男性)、「忘れっぽい性格だからあえてビニ傘を持つようにしている」(飲食業営業・男性)と、なくなることを前提に安いビニ傘を買う人がいるのも事実だ。
雨傘をなくしてはビニ傘を買う。
これを繰り返す人が多い地域はどこだろうか。ウェザーニュースによる47都道府県の「ビニール傘購入ランキング(平均年間購入本数)」と、そのトップ5地域の「傘の拾得物数」を照合してみよう。
【ビニール傘購入ランキング・TOP5】※平均年間購入本数
1位:東京都 1.20本
2位:大阪府 1.11本
3位:長崎県 1.09本
4位:埼玉県 1.05本
5位:千葉県 1.02本
*
47位:長野県 0.63本
1位の東京と、47位の長野とでは、2倍の差がある。都民による傘購入の経済効果はかなり高い。ちなみに、同調査では東京都の人々は「日本で最も服が雨に濡れるのを気にする地域」という結果も出ている。
【傘の拾得物】2015年に届けられた傘の拾得物
※警察庁・警視庁の回答より
東京都:43万394本
大阪府:26万4461本
長崎県:2万925本
埼玉県:7万9105本
千葉県:6万9504本
*
長野県:1万530本
※注:傘の種類別では統計を取っていないため、ビニ傘の取得本数は不明
予想通り、東京都が突出して多い。人口が多いから、傘の落とし物が多いのはいたしかたないだろうが、それにしても多い。1日平均1100本以上ということになる。
傘は「天下の回りもの」か?
東京都民は、日本で最もビニ傘を買い、最も傘を紛失する。
【東京都中野区在住】
「一昨年から覚えているだけで4本の傘をなくしました。3年前、合コンに一番お気に入りの上品な長傘を持って行き、帰りの電車でボーっとして置き忘れ。そして2年前は短い日傘をカバンに入れて歩いていたらいつのまにかなくなり、もう1本の日傘も行方不明。最近また、立ち寄ったカフェか電車かどこかで長傘を置き忘れ、ビニ傘もどこかで1~2本消えていると思います」(32歳・女性・広告)
結局毎年のように雨傘か日傘を1本、時々出先でビニ傘を買っているという。
【東京都江東区在住】
「去年お気に入りのブランド折りたたみ傘をなくしました。会社の傘立てに置いて帰ったら、翌朝消えていたんです。“傘は天下の回りもの”だと考えている輩がいるとしたら残念です」(37歳・女性・IT企業)
この女性はその後2本折りたたみの傘を買い足した。ちなみに普段から軽い折りたたみ傘をカバンに入れているためビニ傘は買わないそうだ。なお、彼女の実家は愛媛県。
「田舎は基本的に車移動なので、傘を使わずに済みます。実家は一人1本も持ってないですよ。当然ビニ傘も買いません。そもそもコンビニ自体あまりないからビニ傘を買う機会もない。それに比べ東京ではどこででもビニ傘が売られていて、電車に乗れば座って傘を手すりにかけ、立ち寄る店も多い。これじゃ買ってはなくすのも当然です」
ビニ傘購入率トップ5の中でも、地方ほど傘の拾得物(落とし物)が少ないのはこうした理由も大きいのかもしれない。また前ページで触れた、長野県民のビニ傘購入率が東京都民の2分の1である理由は、やはりこの「移動は基本的に車」ということや、太平洋岸や西日本に比べ比較的雨の少ない天候エリアであること、さらにマジメで几帳面な性格(置き忘れをしないしっかり者)の県民性だからかもしれない。
※出典
・ウェザーニュース「傘調査2015」
2015年6月、全国の男女に調査。有効回答数56,894人。
https://jp.weathernews.com/news/5699/
・マーシュ「ビニール傘に関する調査」
2015年、一年以内にビニール傘を買った全国の男女500人に調査
http://www.lisalisa50.com/research20150619_19.html
(フリーライター 桜田容子=文)
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