【生かせ!知財ビジネス】アモティ、金融業向け特許・事業価値算出サービス

2016.12.16 05:00

 技術開発活用型の中小・ベンチャー企業の事業性をどう評価すればよいのか-。こうしたニーズに応え、投融資の課題を解決する新サービスが登場した。金融機関やベンチャーキャピタル、会計事務所など向けに、特許を活用した事業の価値を評価し、その将来性予測を支援するクラウド型サービス「Eve-ReSerge(イブ・リサージュ)」が14日始まった。特許検索・分析サービスのアモティ(東京都中央区)と、経営コンサルティングや金融機関向けシステムサービスのHFMコンサルティング(同)が共同開発した。月額利用料金は1ID当たり30万円。

 新サービスの特徴は、特許と事業の関係性を特許データと財務データを組み合わせて解析、検討できる点だ。まず、検討対象の特許と比較する企業の特許を検索し、独自開発した特許の優位性を数値化する情報「AECIL係数」によって算出されたスコアから特許の優劣を把握する。次に企業の売上高、利益、設備投資額など過去3年間の実績を入力すると、収益資産の価値評価法「DCF法」と無形資産の価値評価法「ロイヤルティー免除法」とを組み合わせた手法で、今後10年間の事業収益と特許経済価値を予測できる。

 具体的にAECIL係数は、特許の相対価値を5つの観点からスコア化する。DCF法は事業の将来収益を現在価値に割り戻した額を計算し、将来の利益と特許貢献度を乗じて特許が生み出すキャッシュフローを割り出す。ロイヤルティー免除法は特許の利用に必要なライセンス料を算出するが、自社に特許がない場合は費用となる。特許貢献度やライセンス料率の設定には、AECIL係数のスコアが使われる。

 アモティの吉村憲彦社長は「開発の原点は、特に中小企業の融資対策にあった。地銀の融資担当者向けに開発した企業価値評価支援システムの一部を今回、クラウド化した。特許を活用した事業価値を理解する一助としてほしい。日本の技術力活性化へ、中小・ベンチャー企業の技術開発や事業化を加速させるため、投融資が行き渡ることを願っている」と語った。同社は今後、保有特許の拡張性や新規事業可能性の判断機能、ローカルベンチマーク報告書作成機能などを追加していく予定だ。(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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