「毎月勤労統計」の不正調査問題を受け、政府は厚生労働省の鈴木俊彦事務次官(59)ら関係者を懲戒処分する方針を固めた。政府関係者が17日に明らかにした。問題の影響で延べ約2000万人に雇用保険や労災保険の過少給付が生じ、2019年度予算案の閣議決定をやり直す異例の事態になっており、幹部らの責任は重いと判断した。
根本匠厚労相は17日、不適切な一部抽出調査を正当化する記述が15年のマニュアルからは削除されていたことを記者団に認めた。厚労省は、弁護士らによる「特別監察委員会」の初会合を開き、本格的な調査を始めた。不適切調査は厚労省が03年に作成したマニュアルに基づき、04年から始まっており、問題をめぐる動機や目的、幹部を含めた歴代職員の認識が焦点となる。組織的な隠蔽(いんぺい)があったかどうかも追及する。
問題をめぐっては、18年1月からは抽出調査を全数調査に近づける統計上の修正処理をするなど、担当職員らは不適切な手法であることを認識していた。しかし、厚労省は同年12月に総務省の指摘があるまで対応を怠っていた。