【ニューヨーク=上塚真由】カナダのトルドー首相は11日、カナダの元外交官が中国で拘束された事実を確認したと明らかにし、「極めて深刻に受け止めている」と記者団に述べた。外交ルートを通じて中国側と直接連絡を取っているという。公共放送CBCなど現地メディアが伝えた。
カナダ当局は1日に米国の要請で中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟容疑者を逮捕。カナダの元外交官拘束は、孟容疑者の事件への報復の可能性も指摘されている。一方、カナダ西部バンクーバーの裁判所は11日、孟容疑者の保釈を認める決定を下した。保釈金は1000万カナダドル(約8億5000万円)で、保釈の条件として複数所有するとされる旅券(パスポート)の提出や監視装置の着用などを命じた。
孟容疑者の事件とカナダ元外交官の拘束について、カナダのグッデイル公安・非常時対応準備相は11日、「現時点で関連性を明白に示すものはない」との見解を示した。
ロイター通信によると、中国で拘束されたのは、マイケル・コブリグ氏。コブリグ氏が昨年2月から所属する国際シンクタンク「国際危機グループ(ICG)(本部・ブリュッセル)は11日、「コブリグ氏の所在の確認や早急な解放に向けて全力を尽くす」と声明を発表した。拘束された日時や場所は判明していないが、同氏のツイッターの更新は9日で途切れている。
コブリグ氏はICGで北東アジアのアドバイザーを務め、外交官として北京や香港での勤務経験があった。ICGでは中国に批判的な報告を発表し、最近では中国がアフリカ諸国との軍事協力を加速化させ、安全保障面でも影響を与えているなどと指摘していた。