【衝撃事件の核心】盗難車を堂々の「正規輸出」、その巧妙な手口とは (2/3ページ)

窃盗グループが保管していた「レクサスLX」=茨城県つくば市(大阪府警提供)
窃盗グループが保管していた「レクサスLX」=茨城県つくば市(大阪府警提供)【拡大】

  • 窃盗グループが保管していた窃盗された「ランドクルーザー」=茨城県つくば市(大阪府警提供)

 思わぬ「抜け穴」

 グループは横浜港から正規の貨物船に積み込んで輸出していた。盗難車は本来、車体番号などをチェックされるため、輸出は不可能。それをどのようにくぐり抜けたのか。財務省関税局によると、多くの場合、通関手続き後、コンテナは港近くの「保税地域」で保管され、業者が手を加えることは難しい。

 盗難を防ぐため、コンテナには番号が振られており、輸出時にはこの番号で別のコンテナとすり替わっていないか確認する。ただ、実際は輸出するコンテナの数は膨大で、不審だとの情報などが寄せられない限り中身の確認は行わないという。

 一方、通関手続きを受けた地域と離れた港から輸出したり、通関後の貨物をコンテナの修繕などのために民間が管理する「ヤード」に一時的に運び込んだりすることも仕組み上は可能だ。その場合、輸出業者がトラックなどを手配して貨物を港まで運ぶ。

 ここに「抜け穴」があった。チーマ容疑者らは、格安の中古車をダミーとして用意した上で正規の手続きを行い、税関を通過。その後、横浜市内の民間のヤードに運び込んだ。管理会社によると、このヤードは業者が所定の費用を払えば出入りでき、中身をすりかえていた。

 通関後にコンテナの中身を積み替える不正輸出事件は前例がないといい、同局は対応策を検討するとしている。

巧妙化する手口