日産自動車(本社・横浜市)のカルロス・ゴーン会長(64)が自身の報酬を過少に申告した疑いがあるとして、東京地検特捜部は19日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、ゴーン容疑者を逮捕した。過少申告額は数億円に上るとみられる。特捜部は同日、横浜市の日産自動車本社など関係先を家宅捜索した。日産は同日、声明を発表し、ゴーン容疑者の会長と代表取締役の職を解くように取締役会に提案すると明らかにした。
声明によると、同社は内部通報を受け、数カ月間かけてゴーン容疑者の不正を調査。長年にわたり、ゴーン容疑者の役員報酬について、実際よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明したという。
さらに同社の資金を私的に支出するなど複数の重大な不正行為もあったとし、これらにはゴーン容疑者のほか、代表取締役を務めるグレッグ・ケリー氏(62)も関与したとしている。日産は同氏の解任も提案する。
日産の有価証券報告書によると、ゴーン容疑者の役員報酬は、平成28年度は過去最高となる10億9800万円だったが、29年度は前年より3割以上少ない7億3500万円としていた。
ゴーン容疑者は1954年ブラジル生まれ。17歳で渡仏、仏・国立高等鉱業学校でエンジニアリング学位を取得。78年にタイヤメーカーのミシュランに入社し、90年に36歳で北米ミシュラン会長に抜擢(ばってき)された。
96年にルノーのシュバイツァー会長(当時)のヘッドハンティングでルノー上席副社長に就任。ルノーと日産の資本提携を機に99(平成11)年6月、45歳で極度の経営難にあった日産の最高執行責任者(COO)に就任した。2001(同13)年6月から社長兼最高経営責任者(CEO)となった。