巨額の財政負担を理由に五輪開催の立候補を断念する都市が相次ぐ中、大会経費の削減は重要課題だ。国際オリンピック委員会(IOC)幹部は以前、大会経費について「2兆円でも高すぎる」として削減を求めていただけに、総額が3兆円を超える可能性が出てきたことは「コンパクト五輪」をうたった大会に水を差しかねない。
2020年東京五輪・パラリンピックをめぐり、会計検査院は4日、平成29年度までの5年間に国が支出した関連経費が約8011億円に上ったと明らかにした。これまで国の負担分は会場整備費を中心に1500億円としていたが、大きく上回った。検査院は30年度以降も多額の支出が見込まれるとしており、大会組織委員会と東京都が見込む事業費計2兆100億円を合わせると、経費の総額は3兆円を超える可能性が出てきた。
会計検査院は今回、直近の5年間に国が支出した関連施策費が約8011億円だと明らかにした。だがオリパラ事務局関係者は「この数字の全てが大会のための費用ではない」と語る。確かに、数字は各省庁の関連施策を機械的に計上したものにすぎない。それでも検査院の報告で、表に見えていなかった行政経費が明らかになった意義は大きい。
各省庁の経費計上の線引きの不透明さや関連施策の課題も明らかになった。老朽化した国立代々木競技場の改修整備費(約80億円)などは大会経費から除外され、試算の対象外だった。