漫画などの海賊版サイト対策を検討する政府の有識者会議は19日、中間報告書の修正案を議論した。前回会合で示された素案は、強制的に見られなくする接続遮断(ブロッキング)の法制化を前提とした記述が多く、異論が続出。賛否両論の併記を中心とした内容に事務局が見直した上で、結論を10月初旬に先送りすることを提案した。
接続遮断には、インターネット事業者が全利用者のアクセス先を調べる作業が必要。政府の法制化方針に対し、憲法が定める「通信の秘密」の侵害に対する懸念の根強さが表面化している。
修正案は、接続遮断が「最終手段として必要な場合があり得る」とし、素案で「遮断の法制化も政策的な選択肢となり得る」としていた表現を弱めた。法制化の合意に至っていないとして、修正案を「第1次中間まとめ」と位置付け、さらに議論を続けて2次まとめを10月初旬に行う日程を記した。これまでは19日の決着を想定していた。
素案が法整備の手法などに言及した点も論点整理にとどめ、海賊版の閲覧防止という目的が「通信の秘密」の制約を上回るほど重大かどうかの議論が必要だと指摘した。
法制化は、海賊版サイトの登場で漫画の売り上げ減少に悩む出版業界の委員が支持する一方で、通信業界などが反発。著作権以外への適用拡大を危ぶむ声も出ていた。