【論風】「安倍一強」の二面性 国民の評価は外交か内政か (1/3ページ)

国会議事堂(斎藤良雄撮影)
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 「安倍一強」の名の下に行われている安倍晋三首相の政治姿勢は、外交と内政でその評価は大きく分かれている。最近の先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)や米朝首脳会談での首相の果たした役割は、各種の世論調査で、ある程度評価され、一時低迷していた内閣支持率も上昇している。(一橋大学名誉教授・石弘光)

 毎月何回も外遊に出掛けるが、国際社会でそれなりに日本のプレゼンスを高める働きをしてくれている。支持者は、この外交面では余人をもって代え難い働きを首相はしているとして、支持率上昇につなげようとしている。

 確実でない3選見通し

 この外交での明の側面と比較して、暗の側面が内政と言えよう。このように「安倍一強」には、明暗分かれる二面性があると言えよう。折しも、9月の自民党総裁選が次第に話題になり出した。総裁選に他の候補者も、それなりに政策論を打ち出し、首相の対抗馬として名乗りを上げている。一時期、安倍首相の3選確実と思われていたが、どうもその見通しが確実でない状況も根強く存在している。

 その最大の問題が、首相の抱える内政の諸課題である。「安倍一強」のおごりとしか言えないような光景も見られる。例えば、各種の世論調査で70%前後が「今国会で成立させる必要がない」とする、いわゆるカジノ法案を、国会開催を32日間も延期させ、成立させた。国民の目から見ると、明らかに暴挙としか言いようがない。

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