DNAから半日年齢推定、費用も1回数百円 「科捜研の女」に憧れていた研究員が新手法

京都府警科学捜査研究所の浜野悠也さん
京都府警科学捜査研究所の浜野悠也さん【拡大】

 事件現場に残されたわずかな唾液や血液から、容疑者のおおよその年齢をたった半日で絞り込む-。京都府警科学捜査研究所(科捜研)の専門研究員、浜野悠也さん(31)が考案した鑑定手法が、注目を集めている。解析時間を大幅に短縮し、的確な初動捜査につながることが期待される。

 年齢幅を推定するには、「メチル化」と呼ばれる加齢に応じて変化するDNAの一部構造の高度な解析が必要。だが、専門の外部機関に依頼すると約1週間かかり、1回数十万円かかることから捜査現場で活用されることはなかった。

 「研究と現場の乖離を少しでも小さくしたい」。こうした思いで浜野さんが着目したのは、普段から使用してきた基本技術。人か動物かをDNAから見分ける際、熱を与え、二重らせんを分離させる。鑑定を容易にするための手法だが、メチル化の測定にも応用できることを発見。高価な機器なしで、捜査機関による解析を可能にした。

 唾液や血液から検出した一定量のDNAがあれば半日で解析でき、費用は1回数百円。誤差は平均で6歳前後という。実用化に向け実績を積み重ね、誤差を2歳程度まで縮める方針だ。

 広島市出身で小さい頃から刑事ドラマ「科捜研の女」に憧れ、東京大ではDNAの研究に没頭。今年3月には京都大の研究生として医学博士号を取得した。

 科学捜査技術が進歩すれば容疑者逮捕だけでなく冤罪防止にもつながる。「科学の全てを捜査に応用させたい。研究と現場、二つの世界に身を置く自分だからこそできることがある」