□TTDC
「自社の属する製品・サービス分野の技術動向や自社・他社の技術ポジションは今、どうなっているの?」。技術動向の把握は経営戦略や事業企画上欠かせないが、多忙な知財部門だけで対応するのは難しい半面、他部門で調査するのも心もとない。知財サービス大手のトヨタテクニカルディベロップメント(TTDC、愛知県豊田市)はこのほど、技術情報配信サービス「swimy」(スイミー)の提供を始めた。
swimyは、最近注目されている技術テーマについて、世界の特許データを基に検索した特許データから、余計なノイズデータを除いた、いわば“精緻な特許データ”を分かりやすく整理した技術情報として、専用サイトを通じて契約企業へ提供するサービスだ。同社ではシンクタンクサービスグループが担当している。
清水大樹グループリーダーは「検索担当者の負担が軽減できる上、同じ技術テーマで自社や他社の保有特許の比較や、当該テーマの中で各社がどのような細かい技術テーマに着目しているか、具体的にどのような発明を出しているか、階層的、客観的に理解できる。部門間や経営者向け説明用資料としても活用できる」としている。
swimyには世界最大規模の知財専業組織といわれる同社の高度な知見や検索・解析技術が使われている。
例えば、各テーマは同社の検索エキスパートが検索式などを用いて、3000件から4万件の分析の下敷きとなる関連特許データ群を抽出する。これらは過去3年、5年、10年間に出願・公開されたもので、期間設定はテーマごとに変える。当然、より精緻なモノにするため人が査読してノイズデータを除くが、人手では1人1日1000件が限界だ。
このため同社は、ランダムに選んだ1000件程度の特許データだけを人が査読した結果から、独自のAI(人工知能)用教師データを作成する最新手法を開発し、一部のテーマで適用している。同技術は相関係数0.8と、高い精度が証明されている。
技術テーマは月間8テーマ、年間100テーマを作成する方針。当面、自動車関連分野を想定しているが、IT・通信分野の追加を検討している。価格は1ID当たり年間36万円(税別)。初年度目標は、60IDの獲得を目指している。(知財情報&戦略システム 中岡浩)