神戸製鋼所の性能データ改竄(かいざん)問題で、東京地検と警視庁が5日、不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで、神戸製鋼の東京本社(東京都品川区)を家宅捜索した。不正は1970年代以降、組織ぐるみで継続して行われており、地検と警視庁は押収した資料を分析して立件可能な範囲を絞り込み、改竄の実態解明を進める。
神戸製鋼に対しては昨年10月、米司法省が現地の子会社に資料提出を要求。国内では地検と警視庁が今年4月、神戸製鋼に資料提出を要請したことが明らかになっている。地検と警視庁は改竄の経緯を明らかにするため、強制捜査が必要と判断したとみられる。
神戸製鋼の生産拠点ではアルミや銅などの製品について、顧客から要求された性能を満たさない製品を「合格品」として出荷したり、要求された検査を実施していないのに捏造した検査結果に基づいて製品を出荷したりしていた。
不正を認識もしくは不正に関与していた社員は40人以上にのぼり、中にはその後役員まで昇進した例も複数あった。
不正競争防止法は、商品の品質に関する虚偽表示や営業秘密の不正取得を禁じている。虚偽表示の法定刑は5年以下の懲役か500万円以下の罰金が科され、両方が科される場合もある。