日本脊髄障害医学会 再生医療との相乗効果期待 運動機能回復へ統一プログラム

ロボットスーツ「HAL」を使った脊髄損傷のリハビリ(慶応大提供)
ロボットスーツ「HAL」を使った脊髄損傷のリハビリ(慶応大提供)【拡大】

 ■リハビリ

 交通事故などによって脊髄が損傷し、体にまひが残った人の運動機能を回復させるため、日本脊髄障害医学会は再生医療と組み合わせる統一的なリハビリプログラムの作成を始めた。2~3年後に完成させ、全国の医療機関での活用を目指す。

 脊髄損傷をめぐっては、各地で再生医療を活用して傷ついた神経を修復する研究が行われているが、治療効果を高めるためのリハビリ法は、病院によってばらばらで定まった手順がない。責任者を務める中村雅也・慶応大教授は「再生医療との相乗効果を促す新たなリハビリが必要。全国の医療機関で使える土台となるプログラムを作りたい」と話す。

 脊髄損傷の再生医療は、札幌医大や大阪大が自分の体から取り出した細胞を患者に投与して神経細胞を再生させる取り組みを推進。慶応大は人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った臨床研究を計画している。

 ただし神経が傷つくと、再生医療で修復してもすぐに運動機能は回復しないと考えられ、リハビリを行うことが重要になる。病院によってリハビリの内容が違うと再生医療の治療効果に差が出てしまう恐れがあることから、統一したプログラムを作ることにした。

 昨年から脊髄損傷の治療やリハビリの経験が豊富な6、7施設のグループで検討を開始。安全性や効果を確認する臨床研究を年内に実施する。

 プログラムには理学療法士ら人がサポートするリハビリのほか、電気刺激やロボットスーツなどを使った方法も盛り込む。再生医療を受けるまで筋力や骨の密度が低下しないようなリハビリも合わせる方針。