【ロンドン=岡部伸】英宇宙物理学者で、筋委縮性側索硬化症(ALS)と闘いながら、独創的な宇宙論を発表し続けたスティーブン・ホーキング博士が死去した。英BBC放送などが14日、ホーキング氏の家族の広報担当者の話として報じた。76歳だった。
ホーキング氏は、「車いすの天才科学者」として知られ、ブラックホールの研究などで多くの業績を残している。世界的なベストセラー「ホーキング、宇宙を語る」などの著書がある。宇宙論の権威として知られるホーキング氏は、若くしてALSを患い、車いすとコンピューターの電子音声を使うなどして研究を続けていた。
2016年4月には、ロシア人投資家で大富豪のユーリー・ミリネル氏とともに、光速の5分の1の速度で飛ぶ超小型探査機を開発し、太陽系から最も近い恒星「ケンタウルス座α星」まで飛ばして惑星や生命体を探す計画を発表。ニューヨークでの記者会見で、太陽系にもいずれは寿命が来るため、「(人類が)生き残るには他の星に住むしかない」と述べていた。
1942年1月8日、英南部オックスフォード生まれ。オックスフォード大卒。63年にALSと診断された。
74年「ブラックホール蒸発理論」を発表し、英王立協会会員になった。