宮大工や左官の技を守る 「伝統建築工匠の技」、ユネスコ無形文化遺産申請へ (1/3ページ)

 国の文化審議会は2020年の登録を目指す国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産の候補として、宮大工や左官などが継承する「伝統建築工匠の技」を選定した。「木造建造物を受け継ぐための伝統技術」とのサブタイトルを付け、政府が今年3月末までに登録を申請する。

 専門家の評価機関による事前審査を経て、20年11月ごろに開かれるユネスコ政府間委員会で登録の可否が審査される見通し。政府は伝統技術の保護に加え、20年東京五輪・パラリンピックの機会も捉え日本文化の発信につなげる考えだ。

 対象は、寺社や古民家の修理に欠かせず、国の文化財の一種「選定保存技術」になっている14分野の技術。檜皮ぶきをはじめとする屋根ふきや、彩色、漆塗り、手縫いの畳製作技術などが含まれる。

 国は14分野の技術それぞれに保存団体を認定し、補助金などで後継者育成を支援していることから、審議会は遺産登録の条件とされる保全体制が整っていると判断した。

 保存団体は、宮大工の日本伝統建築技術保存会(滋賀県彦根市)、左官の全国文化財壁技術保存会(愛知県江南市)、屋根ふきの全国社寺等屋根工事技術保存会(京都市)など。

 政府間委員会は毎年開かれており、今年は11、12月にインド洋の島国モーリシャスで開かれる会合で「男鹿のナマハゲ」(秋田)など8県10行事をまとめた「来訪神 仮面・仮装の神々」が審査される予定。

 ユネスコが年間の審査件数に上限を設けているため、登録済みの遺産数が多い日本の案件は2年に1回のペースになっている。

後継者不足深刻 登録で活性化を