足利最後の刀工とされる源景勝(みなもとのかげかつ)の鍛刀の様子を捉えた戦前の貴重な写真が子孫宅で見つかった。史跡足利学校(栃木県足利市昌平町)で開催中の秘蔵刀剣展(25日まで)で急遽(きゅうきょ)、展示され、刀工ファンの間で話題を呼んでいる。
写真では、刀匠の景勝が烏帽子(えぼし)、直垂(ひたたれ)姿で小づちを振り上げ、向こう鎚の景勝の子、景吉が大づちを振り下ろし刀を鍛えている。周囲の男性3人は「景勝」と染め抜かれたはちまき姿だ。昭和10年11月、市内借宿町にあった鍛冶場で撮影された。
景勝は、江戸時代後期の刀工、水心子(すいしんし)正秀門下で、埼玉県川越市から足利に移り住み刀鍛冶となった源景国、景義に続く3代目。景勝は明治生まれで、昭和初期頃まで刀を鍛えていた。
写真は、景勝の孫で足利市在住のギタリスト、柿沼宏嗣さん(73)の自宅に保管されていた。足利が刀剣ブームに沸き、開催中の秘蔵刀剣展で景国の刀が展示されていることから、今月10日に「ぜひ活用してほしい」と同市に申し出た。景国のやり、景勝の脇差も所有してあり、今後、「足利市の展示には協力したい」と話している。