神戸陽子線センター診療開始 全国初の小児専用の照射室備え がん治療で発育障害など合併症リスク軽減 兵庫

壁にイラストが描かれた小児専用の照射室=神戸市中央区
壁にイラストが描かれた小児専用の照射室=神戸市中央区【拡大】

 兵庫県が神戸市中央区の人工島「ポートアイランド」に整備した小児がん患者の治療に重点を置く県立粒子線医療センター付属神戸陽子線センターが1日、診療を開始した。小児専用の陽子線治療用照射室を備えるのは全国初という。

 県によると、小児がんは、放射線治療から数年後に不妊や発育障害などの合併症が出ることがある。粒子線治療は、がん細胞に直接照射するため、そうしたリスクを減らせるとして期待されている。

 センターでは粒子線治療のうち水素の原子核(陽子)を使う陽子線治療を行う。年間で最大120人の小児がん患者の受け入れが可能。成人のがん患者も利用できる。全国の小児がんの発症者数は年間約3千人で、うち約700人は陽子線治療が有効という。

 鉄筋コンクリート4階建て、延べ床面積約5900平方メートル。陽子線を照射する装置を備えた照射室は2室あり、一つが小児専用。壁に魚のイラストが描かれるなど内装も子供向けになっている。

 受診には主治医の診療情報提供書が必要で予約制。問い合わせは同センター(電)078・335・8001。