年の瀬…。振り返れば、今年はいろいろなスポーツが、人々に感動を与えてくれた。
リオデジャネイロ五輪で日本は史上最多の41個のメダル(金12、銀8、銅21)を獲得、4年後の東京五輪へ大きな夢を抱かせてくれた。プロ野球では日本一になった日本ハム・大谷翔平が夢の日本最速165キロを記録、“二刀流”でMVPに輝いた。マーリンズ・イチローのメジャー通算3000本安打達成は鳥肌ものだった。今でもその瞬間、瞬間がまぶたに焼き付いている。スポーツが持つ底力はすごい。
◆栄華は先人のおかげ
いまや日本はスポーツ大国である。80年余の歴史を持つプロ野球は今季、過去最高の2498万1514人を動員した。サッカーのJリーグは24年目を迎え軌道に乗り、ラグビーのTリーグも、2019年W杯日本開催へ向けて盛り上がった。さらに今年からバスケットボールBリーグが新たに組織化された。ゴルフでは松山英樹が最高峰の米ツアーで活躍して世界ランク6位に進出、女子も野村敏京が米ツアーで優勝するなどグローバル化は普通になっている。
とはいえ、いまあるスポーツ界の栄華は先人がいたからこそ…であることを、決して忘れてはならない。今年もまた、多くの功労者たちが逝った。
野球界では、元巨人打撃コーチ、元ヤクルト監督の荒川博さん(12月4日、享年86)。世界の王貞治“1本足打法”生みの親である。戦後、高度成長期の波に乗るかのように王は本塁打を放ち、盟友・長嶋茂雄とともに野球人気を最高潮にさせた。荒川さんは、その礎だった。かつて西鉄(現西武)の黄金時代を築いた豊田泰光さん(8月14日、享年81)の、無頼ぶりが妙に格好良かった。