完全自動運転車の販売開始目標について、経済産業省は当初の平成37年から数年程度前倒しする方針を明示した。さらに32年の東京五輪・パラリンピックの開催を見据え、この技術を導入したバスの自動運転は五輪開催年よりも前に実現する見通しだ。
高齢ドライバーの意識を研究した元田氏は、こうした新技術が、さまざまな意味での“救世主”になると考える。
「『これまでの習慣を変えたくない』『バスや電車に頼る不便な生活はいやだ』との理由から、何歳になっても運転にこだわる高齢者は必ずいる。運転が生きがいになっている人もいるはずだ」と元田氏。しかし、そうした高齢者の運転を危険視する声は社会に根強く、「どこかで折り合いをつける必要があった」と指摘する。
自動運転技術であれば、「自分のペースで運転したい」という高齢者の思いをかなえるだけでなく、安全面での課題もクリアできるはずだ。元田氏は「現行のオートマチック車限定免許のように、高齢者向けに、自動運転車限定の免許をつくるなどの対策も必要ではないか。悲惨な事故を防ぐためにも技術開発が急がれる」と話している。