長時間労働の常態化などに批判が集まる電通。「今も以前同様、仕事を自宅に持ち帰り深夜や休日に処理している」。こう話すのは、テレビなどの広告製作関連業務に携わる20代の男性社員だ。
今回の問題を受け、本社ビルが午後10時消灯となった後も、仕事は多忙を極めたままで、“サービス残業”を行う状況が続いているという。理由は「そうしないと終わらないくらい業務が多い」からだ。
「繁忙期は午前9時前から翌日の午前3時過ぎまで連日仕事するのも珍しくない」。それでも男性は「CM撮影などは良い作品をつくるのが最優先で、時間の調整のしようがない。仕事量や労働時間はハードだと思うが、多くの社員は好きだからやっている。文句を言う人はあまりいない」と話す。
長年、広告業界に携わり現在は電通で契約社員として働く女性(42)は、「電通は何年も前から、就労時間を適正化する努力を続けていた」と話す。「月の残業時間が超過しそうになった場合、上司や管理部門から、『大丈夫か』などと問い合わせがあった」。就業管理は「今回の問題が発覚してから、さらに厳しくなった」という。
ただ、「残業時間はごまかそうと思えばごまかせる」とも打ち明ける。
別の20代の男性社員は「(業務効率化は)今までも出ていたのに何も変わってこなかった。業務内容が変わらなければ形式だけの改革に終わる」と訴えた。