タレントの故やしきたかじんさんの闘病生活を描いた作家、百田尚樹氏の書籍「殉愛」について、やしきさんの長女(43)が発行元の幻冬舎(東京)に損害賠償などを求めた訴訟の判決で東京地裁は29日、一部の記載にプライバシー侵害と名誉毀損を認め、330万円の支払いを命じた。出版差し止めは認めなかった。
長女の母は、やしきさんの元妻。長女は、やしきさんが2013年に再婚した女性の一方的な話に基づいて殉愛が執筆されたと訴えていた。
判決理由で松村徹裁判長は、やしきさんをしのぶ会で再婚した女性があいさつした際、長女らしき人物がやじを飛ばしたとする記載について「百田氏のノートにはあいまいなメモしかなく、長女の録音にやじは記録されていない」と指摘、真実ではないとして名誉毀損を認めた。出版差し止めは「ノンフィクションと銘打った本が広く頒布されて原告が被る不利益は大きいが、事後の回復が著しく困難とは言えない」と述べ、認めなかった。