■高線量にローテクロボ活用
東京電力福島第1原発では廃炉に向けた気の遠くなるような作業が続く。最大の難関は炉心から溶け落ちた燃料(燃料デブリ)の取り出しだ。事故から5年を経ても、燃料がどこにあるのか、どうやって取り出すのか、まだ作業の入り口すら見えない。格納容器からの水漏れ、人が立ち入れない高い放射線量-。課題の克服に向けた技術開発が進む。
◆3基とも所在不明
炉心溶融は1~3号機で起きたが、3基とも燃料デブリの所在はつかめていない。
調査がやや進んでいるのは1号機で、昨年4月、格納容器にロボットを投入し、容器下部に水がたまっているのを確認できた。国際廃炉研究開発機構(IRID)は次の段階として、ケーブルの先にカメラや計測機器を付けてウインチで水中に下ろせるようこのロボットを改造する計画だ。うまくいけば、容器下部に広がる燃料デブリを映像で捉えられるかもしれない。
一方、2号機はロボットを投入する貫通部付近の放射線量が下がらず作業が難航している。3号機は2017年度の調査を目指すが、容器内の水位が高く、水中ロボットの開発が必要となる。
燃料デブリの取り出しで最も理想的なのが格納容器を水で満たして上部から取り出す方法だ。水が放射線を遮る上、通常の燃料交換のノウハウを応用できる面もある。ただ3基とも事故で格納容器が損傷し、現状ではどんなに水を入れてもどこからか漏れてしまう。損傷箇所を特定して止水する必要がある。
IRIDは、格納容器と下部の「圧力抑制室」をつなぐ8本のベント管(直径約2メートル)を止水しようと考えている。建屋1階の床から地下のベント管に穴を開け、強度を高めたポリエステル製のエアバッグを入れて膨らませる。その上にセメントやゴムを入れて固める。