革新的ベンチャーを育成し、グローバル市場の競争に打ち勝つ-。わが国は再び前向きな姿勢を取り戻し始めているが、重要なのは人。そこで次代を担う注目の知財ビジネス人材に焦点を当てる。初回はランドンIP合同会社(東京都港区)の野崎篤志・日本事業統括部長。
ランドンIPは米大手知財調査・分析プロバイダーで、世界最大規模の知財アウトソーシング会社、英CPA Globalの傘下にある。2012年4月に日本へ本格進出し、日本法人を設立した。
開設準備から顧客開拓までを一手に引き受けてきた野崎氏は「業績は当初の急上昇ほどではないが順調に伸びている。売り上げの9割は日本企業などの顧客。3人だった職員は18人に増え、国内特許調査会社では中堅規模に育った。得意分野は世界各地のネイティブ調査員による高度な調査・分析サービスで、顧客の急な調査依頼に対応できるよう、質の充実を図っている」と話す。
国内知財サービス大手の日本技術貿易で10年間、腕利きの若手知財アナリストとして活躍したが、疑問も強くなった。「日本の知財業界にいて感じたのは、知財だけで語りがちな傾向があり、情報をもっと幅広く捉えることが必要ではないかという点。例えば事業、技術、法律、知財と企業内にはさまざまなレイヤーがあるが、これらをばらばらに評価するのは妙だ。知財が強力でも業績が上がらず、知財がなくても成功する場合もある」