原子力規制委員会の田中俊一委員長は22日の定例会見で、九州電力川内原発(鹿児島県)の再稼働差し止めを認めない司法判断が下されたことについて、「(新規制基準や原発の審査を)評価していただいたことは非常に歓迎すべきことだ」と述べた。
関西電力高浜原発(福井県)の再稼働を認めない仮処分決定を下した14日の福井地裁では新規制基準を「緩やかにすぎ、合理性を欠くものである」と判断。地裁で判断が分かれたが、田中委員長は「裁判官は基本的に独立だからそういうこともある。われわれは新規制基準に基づいて粛々と進める」と強調した。
高浜の決定の際、田中委員長は「事実誤認がいっぱいある。私たちの取り組みが十分に理解されていない」と指摘したが、この日は「裁判官一人一人に説明する立場にない。国民社会に取り組みを伝えるというのは努力していく」と話した。
川内では現在、機器や設備が設計通りになっているかなど現場でチェックする「使用前検査」を実施している。差し止めの仮処分が出た場合、規制委は途中で検査を中止することも考えていたが、杞憂(きゆう)に終わった。