■フィリピン不動産 アジアの有望株に
フィリピンの不動産市場で、日本を含む外資の投資や進出が増えてきた。アキノ大統領が汚職や賄賂を取り締まるクリーンな政策や貧困対策を実施した結果、大手格付け会社のS&P、ムーディーズが2013年5月、10月に相次いで投資格付けを適格級に引き上げたのが要因となっている。
フィリピンは、(1)理想的な人口動態(2)サービス業に適した資質(3)財閥主導の都市開発-という3つの理由から、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の不動産市場の中でも有望株と目されている。
15~64歳の生産年齢人口が、それ以外の従属人口の2倍以上の状態を人口ボーナス期と呼ぶ。フィリピンは45年まで人口ボーナス期が続く。13年に人口が1億人を突破し、しかも平均年齢は23歳である。豊富な労働力と今後さらに伸びる消費が、経済成長を引っ張っている。人口と消費が伸び、住宅需要が増えていけば、不動産価格が上がるのは当然だ。
また、製造業が弱いが、サービス精神が豊富でホスピタリティー(もてなしの心)が高い。国民の9割は英語が話せるため、コールセンターなどバックヤード業務をアウトソーシングする欧米企業をはじめ、進出する外資系企業も多く、高級住宅の借り手である外国人駐在員が増えている。不動産市場は好循環で回っている。
新興高級住宅街を財閥主導で開発しているのも強みとなっている。アヤラ財閥の一角で国内最大手デベロッパーのアヤラランドが開発したマカティCBDとボニファシオ・グローバル・シティ(BCG)、ロペス財閥のロックウェルの3エリアが典型的な例だ。
いずれも高級住宅、ショッピングモール一体型の大規模再開発で、ゲートで囲まれた街区は女性が夜に出歩けるほど安全。富裕層のためだけにつくられた住み心地の良いエリアだ。賃料は高く、投資利回りが良い。