電力小売りの全面自由化を柱とする改正電気事業法が11日、参院本会議で自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決、成立した。安倍晋三政権が3段階で進める電力システム改革の第2弾で、平成28年をめどに家庭が電力会社を自由に選べるようにする。政府は、大手電力10社が地域ごとに販売を独占する家庭向け電力供給の市場を開放し、新規参入を促してサービスの多様化や料金引き下げにつなげる考えだ。
改正法は、すでに自由化されている企業向けに加え、一般家庭を含む小口部門の小売りも自由化する具体的な措置を盛り込んだ。大手電力の地域独占を認めていた参入規制を撤廃することで、消費者が他地域の電力会社や新規の小売事業者などを自由に選べるようになる。
経済産業省は自由化により、大手電力が独占する家庭や商店向けの7兆5千億円規模の電力市場が開放され、ガスや石油、通信など異業種から新規参入が進むと期待している。ただ、競争が本格化するまでの間、大手電力が逆に値上げに走らないよう一定期間は料金規制を残す。また、電力の安定供給のため、小売事業者に必要な電力の確保も義務付けた。
政府は、今後の電力システム改革第3弾で30~32年をめどに大手電力の発電と送配電部門を別会社にする「発送電分離」を目指し、その具体策を盛り込んだ電事法改正案を27年の通常国会へ提出する予定だ。