東京電力福島第1原発の「H6」タンク群で約100トンの高濃度汚染水が漏洩(ろうえい)した問題で、東電が移水作業を効率化するため、本来閉じられているはずの弁を常時開いておくよう現場に指示していたことが24日、分かった。この日開かれた原子力規制委員会の汚染水対策検討会合で東電が明らかにした。規制委は「管理に問題があった」とずさんな対応を非難した。
H6へ汚染水を移送する配管では、3つの弁を使い漏洩防止を多重に管理している。今回はいずれの弁も開いていたため、多重防護の仕組みが機能せずに漏洩につながった。
このうち漏洩時に開いていた2つの弁について、東電は昨年4月、汚染水をタンクへ移送する作業が増えたため、弁を開閉する時間を短縮する目的で、常時開いておくよう現場に指示を出していたという。
残り1つの弁については誤操作の可能性があり、東電は作業に関わった作業員ら計106人に当時の状況の聞き取りを進めている。
規制委の更田(ふけた)豊志委員は「(誤操作が起きても)漏洩につながらない設計ができていたはずなのに、弁操作の管理に問題があった」と指摘していた。