来年3月の全面開業を控えた高さ300メートルの日本一の超高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)。この周辺地域が予想外の放置自転車で頭を悩ませている。官民複数の駐輪場で計約7千台が収容可能なのだが、認知度が低く、利用が進んでいないのが理由。「駐輪場の場所が分かりにくい」という意見もあり、区役所は利便性向上に向けて自転車利用者の実態調査に乗り出した。大阪の「新名所」で放置自転車は一掃できるか。
「多くの人に来てもらいたいが、安全や住みやすさが損なわれては困る」。ハルカス南側の「松崎町二丁目振興町会」の大塚治(はる)雄(お)会長(70)は表情を曇らせる。理由は大量の放置自転車。歩道は狭まり、地元商店会や自治会には「子供や高齢者が安全に通れない」「自転車が邪魔で掃除ができない」などの声が寄せられている。
大阪市建設局が10月上旬の休日、路上駐輪が禁止されている近鉄・大阪阿部野橋駅周辺の南北約600メートル、東西約400メートルの区域で実態を調査したところ、放置自転車は約1100台を数えた。
この結果に、同局の担当者は「放置自転車をゼロにできるはずなのに…」と困惑した。同局によると、同駅周辺には、公営と商業施設を合わせた自転車の駐輪場が14カ所あり、収容台数は計約7千台分あるのだ。
ほとんどは最初の数時間が無料。にもかかわらず、10月の調査で、約1100台の放置自転車が確認された一方、駐輪場には1700台以上の空きがあった。
十分な空きがあるはずなのに、なぜ違法駐輪がなくならないのか。