ロスマン氏に師事した理化学研究所の合田裕紀子シニアチームリーダーは「ロスマン氏は小胞と細胞膜の融合機構、シェクマン氏は関係する遺伝子を解明。スードフ氏はこれらを基に、神経細胞が別の細胞に情報伝達物質を放出する仕組みを90年代初頭に突き止めた」と解説する。
ロスマン氏らは当初、酵母を使って輸送のメカニズムを解明。その後、人間など他の生物も同じ仕組みを持つことが分かり、生物学から基礎医学へと研究対象が広がった。
小胞の輸送機構の解明でがんや糖尿病、アルツハイマー病などの研究も進展した。シェクマン氏の指導を受けた東京大の中野明彦教授(細胞生物学)は「多くの疾患が小胞輸送機構の異常が原因と判明しており、病気の解明や創薬には、この機構の理解が不可欠になっている」と話している。(伊藤壽一郎)