贅(ぜい)の限りを尽くした内装、超一流の接客サービス…。世界に名だたる「リッツブランド」への信頼が大きく揺らぐ事態に発展した。「絶対うちにも(影響が)来るぞ」。食材をめぐる阪急阪神ホテルズの不祥事が発覚した直後、ザ・リッツ・カールトン大阪の厨房(ちゅうぼう)ではこんなやりとりが従業員の間で交わされていた。従業員の証言から浮かび上がるのは、一流ホテルの「裏の顔」。企業の危機管理に詳しい専門家は「世界有数のホテルでもモラルハザードが起きていたとは」とあきれている。
「当店は生搾りのフレッシュでございます」
ストレートジュースを口にして違和感を覚え、「本当にフレッシュか」と問い合わせた客に対し、配膳(はいぜん)担当者は自信をもって、こう答えていたという。だが、実際は配膳担当者自らストレートジュースをグラスに注ぐこともあった。
なぜフレッシュジュースはストレートジュースに変わったのか。従業員は「上司は『原価を落とせ。コスト削減が第一』と至上命令のように話していた」と証言する。
実際“本物”は手間もコストもかかった。