新型天然ガス「シェールガス」の開発に沸く米国は、近く天然ガス輸出を本格解禁する見通しだ。中部電力と大阪ガスが参画するテキサス州フリーポートの液化天然ガス(LNG)輸出事業は、「認可第1号」となる可能性も高い。その拠点となるLNG輸出基地の現場を取材した。
全米第4の都市ヒューストンから高速道路を南へ車で1時間あまり。メキシコ湾に沿って広がる化学工業地帯の一角に、フリーポートのLNG基地はある。約85万平方メートルの敷地にそびえるのは高さ約49メートルの2基の貯蔵タンク。だが今の貯蔵量はわずか1割。実はこのLNGは輸出用でなく、海外から輸入されたものだ。
2008年ごろまでの米国はエネルギーの供給懸念が強く、フリーポートなどLNGの輸入基地が相次ぎ整備された。しかし、シェールガスの開発ブームで輸入が激減。「フリーポートも半ば見捨てられた存在」(関係者)だった。
だが、「シェール革命」で輸出余力が生まれ、米政府は昨年末に自由貿易協定(FTA)締結国に限っていた輸出について非締結国にも拡大する検討を開始。フリーポートは一転、輸出基地に生まれ変わろうとしている。
対日輸出が承認されれば、今は更地の場所に液化施設を整備し、タンクをもう1基と運搬船の接岸施設を増設する。フリーポート社のロバート・ペート所長は「基地は大いに活気づくはず」と期待を寄せている。(フリーポートで 柿内公輔)