2012.10.17 08:15
2012年のノーベル賞は、京都大の山中伸弥教授が医学・生理学賞を受賞し、19人目の日本人受賞者となったが、経済学賞の受賞者はまだいない。
世界第3位の経済大国としては意外に思えるが、経済学者からは「日本では政府が経済学のアイデアを採用しようとせず、研究者が生きた経済を直接相手にする機会が少ない」という不満の声がある。長期の経済低迷が続くなか、政府は優れた“日の丸経済学者”の研究成果を取り込む余地がありそうだ。
「日本は経済学を現実の政策に活用する姿勢に欠ける。それが根本問題だ」。日本人の受賞者が出ない理由について、東京大大学院経済学研究科の松島斉教授は、こう指摘する。
経済学賞受賞者を多数輩出している欧米では、優秀な経済学者を政権に迎えることも珍しくない。
米国では、クリントン政権で大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長を務めたジョセフ・スティグリッツ・コロンビア大教授や、レーガン政権でCEA委員を務めたポール・クルーグマン・プリンストン大教授などが代表格で、両氏とも経済学賞を受賞している。