KYB免震データ改竄 都庁・原発施設・スカイツリーも
油圧機器メーカーのKYBが製造した免震・制振装置の検査データの改竄(かいざん)問題で、東京都庁や東京スカイツリーなど公共性の高い施設に同社製品が多数設置されていることが17日、分かった。KYBは不正の疑いを含めて全国の986件の建物に装置を納入。不正な製品はすべて取り換える方針を表明しているが、地震が頻発する中、各地に懸念が広がっている。
問題を受けて同日、全国の自治体から、公共施設への導入状況に関する発表が相次いだ。
「不適合か調査を急いでいる」。同社製の制振装置「オイルダンパー」が設置されている高さ634メートルの東京スカイツリー(東京都墨田区)では、担当者が困惑気味に話した。
都庁(新宿区)では第1、第2本庁舎で基準に適合しない疑いがある制振装置214基が設置され、小池百合子知事は「安全の問題、信頼性に関わる」と述べた。
このほか、2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場となる五輪水泳センターや有明アリーナにも設置されていた。
「企業のモラル低下」と不快感を示したのは大阪府の松井一郎知事。府庁本館の耐震工事でデータ改竄された12基の制振装置が設置されており、「不良品」として交換や補償を求める。
浜岡原発(静岡県御前崎市)や敦賀原発(福井県敦賀市)でも、事故の際の非常用施設で使われていることが判明。宮城県立こども病院など各地の医療施設や、通天閣(大阪市)、シャープ亀山工場(三重県亀山市)にも設置されていることが分かった。
KYBは、所有者の了解が得られた建物の具体名を19日午後に公表する方針。交換工事の際には一時的に建物が利用できなくなる可能性があり、納入先から補償などの要望があれば対応を話し合うという。
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