スカイツリーにも装置使用 KYB免震不正 本格調査で影響拡大

 
東京スカイツリー。タワーの揺れを抑えるシステムにKYBの装置を使用していることが分かった=東京都墨田区

 油圧機器メーカーKYBによる免震・制振装置のデータ改竄(かいざん)問題で、東京スカイツリー(東京都墨田区)や原発の関連施設でKYBの装置を使用していることが17日、明らかになった。東京五輪・パラリンピックの競技会場や、大阪など各地の都道府県庁舎にも設置されていた。企業や自治体は使用装置がデータ改竄されたものかどうか本格調査を始め、影響が広がった。KYBは納入先への連絡を急ぐとともに、交換や補償を求められた場合の検討に入った。

 大阪府の松井一郎知事は記者団に「不良品だ。補償してもらう」と述べ、交換などを求める考えを示した。菅義偉官房長官は記者会見で「誠に遺憾だ」と批判し、国土交通省に対応を指示したことを明らかにした。

 問題の装置は油の粘性を利用して建物の揺れを少なくするオイルダンパーで、KYBと子会社が基準の範囲内に収まるようデータを改竄していた。地震の際に設計通りの性能が発揮できず、建物への影響が想定より大きくなる恐れがある。

 KYBは不正の疑いを含めて全国の986件の建物に装置を納入している。建物の具体名を明らかにしていないが、自治体や企業が17日、KYB製ダンパーの使用状況を明らかにした。浜岡原発(静岡県御前崎市)や敦賀原発(福井県敦賀市)で事故の際の非常用施設で使われていることが判明。五輪施設や東邦ガスの防災拠点ビルなどにも設置されていた。

 KYBは不正な製品は全て取り換える方針を表明している。交換工事の際には一時的に建物が利用できなくなる可能性があり、納入先から補償などの要望があれば対応を話し合う。費用は未定としており、負担がかさめば業績の悪化が避けられない。