はやぶさ2、小惑星リュウグウに到着 秋から本格探査 生命の起源に挑む
小惑星探査機「はやぶさ2」が27日、目的地の小惑星「リュウグウ」に到着したと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表した。地球出発から約3年半に及んだ往路の航行が終わり、秋から本格的な探査を開始。1年半をかけて生命の起源の謎に挑む。
はやぶさ2は27日午前、到着に向けてエンジンを逆噴射させる最後の軌道修正を実施。高度約20キロの位置でリュウグウと並走する軌道に入ったことを示す信号が地上に届き、到着が確認された。
太陽光を浴びて常に発電できるこの位置で、探査期間の大半を過ごす。今後は高度を下げて地形などを詳しく観測し、9月にも着地して地表の物質を採取。来春には人工的にクレーターを作り、地下の物質を世界で初めて採取する計画だ。
リュウグウには生命の材料である有機物や水が豊富に存在するとみられる。採取した物質を持ち帰り分析することで、生命の材料は小惑星などによって地球に運ばれたとする仮説の検証を目指す。
はやぶさ2は平成22年に小惑星の物質を初めて地球に持ち帰った探査機「はやぶさ」の後継機。初代でトラブルが相次いだことを受け、多くの改良を行った。
26年12月に地球を出発し、機体を加速するイオンエンジンを噴射して航行。太陽と地球の間を10往復する距離に相当する32億キロの往路を無事に終えた。
来年末に探査を終えてリュウグウを出発し、東京五輪閉幕後の32年末ごろに物質を入れたカプセルが地球に帰還する。
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探査機「はやぶさ2」の探査の狙いや初代の「はやぶさ」との違いを、Q&A形式でまとめた。
Q リュウグウの特徴は
A 初代が訪れた「イトカワ」は岩石だけでできているのに対し、有機物や水が豊富に存在するとみられる。直径は推定約900メートルで、そろばんの玉のような形をしている。
Q どこにあるのか
A 現在は地球から約2・8億キロの距離にあり、地球と火星の公転軌道の間を楕円(だえん)形に回っている。
Q 名前の由来は
A 探査機で物質を持ち帰る様子が、浦島太郎が竜宮城から玉手箱を持ち帰るのに似ていることから名付けた。
Q なぜ小惑星を探査するのか
A 小惑星は約46億年前の太陽系誕生時に生まれ、当時の姿をとどめている。タイムカプセルを開けるように、探査によって太陽系の歴史をひもとく手掛かりが得られる。
Q 探査内容は初代とどう違うのか
A 初代は地表の物質だけを採取したが、今回は風化しておらず太古の状態により近い地下の物質も採取する。物質を持ち帰る工学的な技術だけでなく、生命の起源に迫る科学的な成果に重点を置いている。
Q 初代が見舞われたトラブルと今回の対策は
A 機体を加速するイオンエンジンが故障したことを受け、耐久性と性能を向上。燃料漏れを起こした姿勢制御用エンジンの配管を改良し、一時途絶した通信の機能も強化した。
Q 小惑星探査は日本の得意分野なのか
A 日本が実績で世界の先頭に立つ。ただ、米国も将来の資源利用を視野に10月から別の小惑星を探査し、はやぶさ2を大幅に上回る60グラムの物質を持ち帰る計画で、逆転されかねない。
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