森友問題で国会議論かみあわず 与党「財務省、アベノミクス潰す答弁」 野党「内閣総辞職を」

 
参院予算委員会で答弁する財務省の太田充理財局長=19日午前、国会・参院第1委員会室(斎藤良雄撮影)

 「これは公文書の偽造であり明らかに犯罪だ」。学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる文書改竄(かいざん)問題が集中審議された19日の参院予算委員会では、与党議員からも財務省に対して厳しい声が上がった。野党議員は政権批判を強め、守勢に回った安倍晋三首相らに「総辞職すべきだ」などと迫ったが、議論はかみ合わず、紛糾した。

 「財務省が独占的に権限を行使するうちに、おごりの体質ができていたのではないか」。最初に質疑に立った自民の青山繁晴議員は、こう口火を切った。続く和田政宗議員も「私は猛烈に怒っている。どれだけ国会を空転させたか。財務省は嘘をつき続けていた」と語気を強めた。

 さらに和田議員は、答弁に立った財務省の太田充理財局長が旧民主党政権時代に野田佳彦前首相の秘書官だったことから、「安倍晋三政権をおとしめるため、意図的に変な答弁をしているのではないか」と質問。太田氏が「そんなつもりは全くない。いくらなんでもご容赦ください」などと色をなして反論する場面もあった。

 ただ、質問が財務官僚に偏ったため、野党側からは「官僚だけに責任を押しつけるな」といったやじも。その野党議員の質疑が始まると、予算委が開かれた第1委員会室の緊張感は一段と高まった。

 質疑は安倍首相の関与や官僚の忖度(そんたく)がなかったかが焦点に。安倍首相は「書き換え前の文書を見れば、私や妻から働きかけがなかったことは明らか」と繰り返したため、野党議員がたびたび抗議して審議が中断した。

 こうした中、改竄前の文書に国会議員に並んで昭恵夫人の動向が書かれている理由を問われた太田理財局長が「それは基本的に総理夫人だからです」と答えた際には、「おおー」「よく言った」と野党席が勢いづく一幕も。安倍首相は「私の妻じゃなければ書きませんよ」と認めつつ、「書き換え全体のごく一部にすぎない」などと釈明した。

 一方、民進の大野元裕議員は麻生太郎副総理兼財務相に対し、「(元理財局長の佐川宣寿前国税庁長官が辞意表明した際の)9日の会見で『佐川前長官に最終責任がある』と話したが、今もそう認識しているのか」と追及。麻生氏が「佐川氏が最終責任になる可能性が大きいので」などとあいまいな答弁を行うと、大野氏は「責任を負わせようとしたのではないか」と批判した。

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