那須でカワウソ目撃? 絶滅種のニホンカワウソなら大発見だが… 栃木

 
カワウソに似た動物の目撃情報があった余笹川=那須町沼野井

 栃木県那須町の余笹川で、カワウソに似た動物の目撃情報があり、町内の釣り愛好者らでつくる「なす魚類調査クラブ」が年明けから調査を始める。町内でのカワウソの生息記録はなく、目撃情報は初めてという。国内にカワウソの野生種はほぼいないはずで、「絶滅種」のニホンカワウソなら“世紀の大発見”だが…。(伊沢利幸)

 カワウソはイタチ科の哺乳(ほにゅう)類。泳ぎが得意で、水中生活に適応。世界全域の水辺や海上で生息している。国内ではニホンカワウソが北海道から九州まで広く生息していたが、乱獲や開発による生息環境の変化で激減。環境省は平成24年8月のレッドリスト改訂で「絶滅種」に指定。一方、今年2月には長崎県・対馬で琉球大グループが自動撮影で野生のカワウソを確認したが、調査の結果、見つかった糞(ふん)から韓国やロシアに生息するユーラシアカワウソの近縁種と断定された。

 同クラブによると、会員が今年8~10月の3回、那須町内の余笹川と黒川の合流地点でカワウソに似た動物を目撃。「約10メートル先の流れの中で顔を出していた」という。

 情報を受けて同クラブは年明けにも専門家の指導を受けながら目撃エリアで足跡を探す予備調査を開始。春をめどに定点カメラ数台を設置するなど本格調査に入る予定だ。

 県なかがわ水遊園(大田原市)の渡辺敬晴学芸員は「かつて県内にもニホンカワウソがいたという記録はあるが、福島県や群馬県で確認されているアメリカミンクの可能性もある」と推測。アメリカミンクはこげ茶色でイタチより大きく、カワウソに似ているという。ただ、同クラブを昭和60年に立ち上げ、会長を務める山田正美副町長は「町内にカワウソが生息していた記録はなく、イタチなどとの見間違いの可能性も大きいが、いないとはかぎらない。夢を持って調査を進めたい」と話す。

 ■外来ミンクの可能性 生態系影響に懸念

 目撃された動物はアメリカミンクの可能性がある。県立博物館によると、県内でも川で潜水していたイタチがカワウソと見間違えられた例がある。写真などで特徴や大きさから判別が可能。鼻先から尻尾までの体長で、カワウソは120センチ、イタチは55センチ程度だ。

 アメリカミンクは中間の80センチ程度で、イタチ類との競合、生態系への影響が懸念される外来種。魚類などを狙って泳ぐ姿も目撃されている。福島県では捕獲例が多く、同館の林光武自然課長は「いつ県北地域で発見されてもおかしくない状況。すごく心配している」と危惧している。