月の地下に巨大な空洞 長さ50キロ、探査基地としての利用期待 かぐやの観測で判明

 
月の表側の「マリウス丘」にある直径約50メートルの縦穴。月観測衛星かぐやが撮影した(JAXA提供)

 月の地下に延びる巨大な洞窟を発見したと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが18日発表した。探査機「かぐや」の観測で突き止めた。月で洞窟が見つかったのは初めてで、将来の有人基地の建設場所として有望という。

 かぐやがレーダーで地下を観測したデータを分析した結果、月の表側にある「マリウス丘の縦穴」付近から、長さ約50キロにわたって洞窟が延びていることが分かった。

 洞窟は縦穴につながっているとみられ、地表からの深さは最大で数百メートル。幅は100メートル前後で、断面は崩落しにくいかまぼこ形と考えられるという。

 ここは約35億年前に溶岩が流れた場所で、その表面だけが冷えて固まって残り、内部は流れ去って空洞が生じたとみられる。同じ仕組みでできる洞窟は富士山麓や米ハワイなどで多くみられ、月にも存在すると指摘されていた。

 月面は有害な放射線や隕石(いんせき)が降り注ぐ危険な環境だ。地下の洞窟はこうしたリスクがなく温度変化も緩やかなため、基地建設の有力な候補地として期待されている。

 マリウス丘の縦穴はかぐやが平成21年に発見。直径、深さはいずれも約50メートルに及ぶ。こうした大型の縦穴は、人類が地下に居住する上で欠かせない出入り口になるが、少数とみられ、JAXAは分析範囲を拡大してさらに調べる。