中国が電磁式カタパルト開発 東シナ海に先進的空母群が出現するのは時間の問題

専欄

 中国人民解放軍所属の海軍工程大学が、今年の新入生募集要項の中で、「電磁式カタパルト」の専門課程を設けて学生を新規募集することが明らかになり、内外の注目を集めている。

 カタパルトというのは、空母のような艦艇から航空機を射出するための機械である。蒸気式や電磁式などいくつかの方式があるが、中でも「電磁式カタパルト」は抜群の性能を有している。このため米国がまず実用化し、これを追って中国も開発に着手している。

 中国はいま「遼寧」という空母を1隻所有し、すでに就航している。この空母は未完成だったロシア「ワリヤーグ」を購入し、空母として完成させたもの。ところが最大の欠陥は、艦載機の発進がうまくいかないことだった。

 「遼寧」では甲板を上に向け、艦載機のエンジンの力だけで発艦させる「スキージャンプ」と言われる方式を採用している。しかも艦載機はロシアの戦闘機をベースに開発したため、エンジン出力が不足していて、甲板上で、十分な加速が得られない。やむなく艦載機の積載量を極端に減らし、身軽にしてなんとか発進させている。

 この問題の解決のために開発を急いでいるのが、「電磁式カタパルト」だ。大連で建設中だった国産第1号の空母はすでに進水したが、これには「電磁式カタパルト」の搭載は間に合わなかったとみられる。だが、上海で建設を開始した国産第2号には、いよいよ「電磁式カタパルト」が搭載されるのではないか、との見方が広がっている。

 海軍工程大学が「電磁式カタパルト」の専門課程を設けたことは、開発が進み、実践段階に入ってきたことを示していよう。

 これが完成すれば、発進を加速でき、滑走距離を短縮できることになる。搭載する燃料や弾薬も増やせる。米国の圧倒的な空母能力に対抗することも可能となるかもしれない。

 中国海軍の関係者は「中国のカタパルト発艦技術には全く問題がなく、実践もスムーズに進められており、実用化の自信を深めている。中国が把握している技術は既に米国に遅れておらず、より先進的なほどだ」と述べている。

 空母に搭載されても、駆逐艦や潜水艦との一体的な運用ができるようになるには、まだかなりの時間がかかろう。それでも東シナ海に中国のかなり先進的な空母群が出現するのは、時間の問題となってきた。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)