京大のES細胞作製を国が認可、本年度にも再生医療に提供開始

 

 京都大は30日、人の再生医療に用いる胚性幹細胞(ES細胞)の作製が文部科学省と厚生労働省に認められたと発表した。医療用ES細胞の作製が認められるのは国内初。ES細胞をあらかじめ作って備蓄しておくストック事業を開始し、本年度中にも研究機関に提供したいとしている。

 厚労省の委員会が6月上旬、計画を大筋で了承していた。

 ES細胞は受精卵から作られ、人工多能性幹細胞(iPS細胞)と同様にさまざまな組織に成長できるため、医療応用が期待されている。迅速に提供できるよう京大はストック事業の計画を進めていた。

 計画では京都市内の病院で不妊治療をした夫婦に、廃棄する受精卵の提供を呼び掛け、ES細胞を作製する。京大の末盛博文准教授は「早く研究機関に届けられるようにしたい」としている。

 ES細胞は受精卵を壊して作るため倫理的問題が指摘され、利用は基礎研究に限られていたが、2014年に新指針ができ臨床研究ができるようになった。