日本人の不思議な三大行動 岡部佳子

講師のホンネ

 日本人がよく指摘される不思議な行動について考えてみる。

 (1)泥酔

 「日本人は普段はとてもまじめなのに、なぜお酒を飲むとあんなに酔っぱらうのですか?」と特に中国人によく聞かれる。

 今ではだいぶ変わってきたが、中国人はもともと白酒などの強いお酒を酌み交わして人脈を築く。しかし泥酔しているような姿を見ることはほとんどない。治安の問題もあると思われるが、道路で寝込んでしまうなんてありえないこと。そのような泥酔状態になる日本人を見ると理解できないだけではなく、軽蔑する。だから、一度でもそんな姿を見せると、仕事中にどんなに立派なことを言っても話を聞いてくれなくなることが多々ある。信頼を失い、嫌われてしまうと回復するのは不可能と言っても過言ではない。

 (2)歩きたばこ

 外国人から見た日本人の悪いマナーの代表である。特にベトナム人やネパール人から指摘されることが多い。聞いてみると彼らの国でも歩きながらたばこを吸う人はいるそうだ。ただ、「日本人はマナーが良いからそんなことをしない」と思っていたのに、「街でよく見かけるのでびっくりした」という。イメージが良かった分、ダメージが大きいのかもしれない。

 (3)お辞儀

 ペコペコ頭を下げる動作はどこの国の人から見ても滑稽に見えるようだ。

 「感謝やおわび、挨拶をするときに相手のことを大切に思う気持ちを言葉に加えて動作で表すのがお辞儀。いい人間関係を築いていくうえでとても重要である」ということを学生に教えている。最初は笑っているが、重要性を理解すると、心を込めてきれいなお辞儀ができるように意識して取り組んでくれる。

 グローバル社会になった今、「泥酔」や「歩きたばこ」は改善する必要があると思う。もし習慣になっている方がいたら、日本ではもちろんのこと、海外を訪れた際は気をつけていただきたい。なぜなら、そういった行為によって危険な目に遭ったり、その国の法律に触れることもあるから。

 しかし、お辞儀は日本の素晴らしい文化だ。外国人には滑稽に見える半面、日本人は礼儀正しいと好印象を持ってくれていることも事実。また、教え子の学生のように、意味を理解し身に付けようと努力する姿勢が、とても大切な習慣であることを物語っている。

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【プロフィル】岡部佳子

 おかべ・けいこ 1966年、大阪市生まれ。マナー研修講師、中国コーディネーター。外国人留学生を受け入れる専門学校では、ビジネスマナーの授業を担当する。また、国際ビジネスの分野では、10年に及ぶ上海での経験と人脈を生かし、日本と中国に橋を懸ける企業と人の支援を精力的に行っている。中国の国家職業資格である中国茶高級茶芸師の一面を持つ。