「バスタ新宿」の高速バスが違法駐車 国交省が調査に乗り出す 産経記者も路駐確認

 
国内最大規級の高速バスターミナル「バスタ新宿」。左奥は新宿駅南口=4月4日、東京都渋谷区(宮崎瑞穂撮影)

 全国最大のバスターミナル「バスタ新宿」(東京)で発着する高速バスの一部が周辺で違法駐車しているとして、国土交通省が実態調査に乗り出したことが30日、分かった。バスタ新宿周辺の国道20号(甲州街道)では、膨大な情報を分析する「ビッグデータ」を利用して渋滞の実態把握を進めており、併せて調査結果を近く公表する予定だ。

 39都府県の約300都市を結び、1日最大約1600台が発着するバスタ新宿。乗客を降ろした後に次の便で乗客を乗せるまでの間、通常は4階にある駐車スペースや近隣の駐車場などで待機するが、JR新宿駅西側の東京都庁周辺の路上で違法駐車している高速バスもある。

 バスタ新宿を利用するバス会社約120社は施設周辺で路上駐車をしないことになっているが、近隣の住民は「高速バスが時間を潰していて、交通に支障が出ている」と指摘する。

 産経新聞記者も30日までに東海地方や甲信越地方にある複数のバス会社の高速バスの路上駐車を確認。あるバス会社は取材に「時間より早く車庫を出発したバスが時間調整のため停車していた可能性がある」と説明した。

 国交省は路上駐車の実態を把握するため、すでに調査を開始しており、近く対策を講じる方針だ。

 一方、バスタ新宿周辺の国道20号をめぐっては、平日で渋滞が悪化した調査結果が出ていたが、国交省は「より詳細な調査が必要」としてビッグデータによる解析を行っている。

 全国の高速道路などに設置された道路側アンテナで、自動車の走行データを最大80キロ分集められるETC2・0を活用。バスタ新宿周辺を通った自動車の走行経路や速度変化などのデータを分析し、渋滞の実態を把握した上で原因解明を進めている。

 ■用語解説

 ETC2・0

 自動車の走行情報や道路情報を双方向で高速通信できる次世代交通システム。高速道路など全国約1600カ所に設置された無線アンテナを通じ、データを送受信する。自動車側は自動料金支払いだけでなく、渋滞回避や安全運転支援などの情報サービスを受けることができる。今年9月末時点で約96万5千台が対応端末を装備している。