2015.8.26 06:30
■人気車種のハイスピードバトルに大興奮 プライベーターも参加する「SUPER GT」
今、日本のモータースポーツが再び熱を帯びている。中でも盛り上がりを見せるのが、国内最高峰の自動車レースの一つ、「SUPER GT選手権」だ。8月8~9日に富士スピードウェイで行われた今季第4戦は、家族連れを中心に5万6800人のファンが来場した。なぜこれほど人気を集めているのか、その理由を探ってみた。
《国内3ブランドが真っ向勝負》
SUPER GTは市販車をベースに改造したマシンで戦うレース。上位の「GT500」と下位の「GT300」の2つのクラスで争われ、タイでの海外ラウンドを含む全8戦で行われる人気のシリーズだ。
花形のGT500クラスは日産、ホンダ、レクサスの国内3ブランドが自ら主体となって組織を編成するワークスチームで参戦。このクラスの魅力は、なんといっても、それぞれの陣営を代表する「GT-R」「NSX」「レクサスRC F」が意地とプライドを懸けて繰り広げる熱いバトルだ。「カッコいい」と見とれてしまう車体は、動き出せばF1並みの時速300キロ超で疾走。爆音をとどろかせながらライバルと競り合うマシンに観客は一喜一憂する。
ファンの視線はGT300にも集まる。チームを運営するのはプライベーターと呼ばれるオーナーたち。個人でレーシングチームを立ち上げてマシンを購入し、メーカーや企業から支援を受けながら参戦するカスタマーレースの戦いだ。
《ベンツ、アウディ…GT300には欧州勢も参加》
GT300の特徴の一つは、国産車のほかメルセデス・ベンツ、アウディ、ランボルギーニなど14車種29台がエントリーしていることだ。レクサスのマシンで参戦するLMcorsaの小林敬一監督は「いろんな車種が一緒に走る面白さは、クルマに詳しくない人にも分かってもらえる。フェラーリだのポルシェだの、これだけ集まるレースは独特のすごみがある」と魅力を語る。同チームの飯田章選手は「自分がオーナーになった気分で楽しめる」と、GT300ならではの醍醐味を強調する。普段は公道を走る、誰にでも買える市販車が、プロの手によってレーシングカーに変身し、サーキットを弾丸のように駆け抜ける。
観客をひきつける理由はレースの面白さだけではない。チームやメーカーによるイベントや、フードエリアでB級グルメを味わう人。富士ではサーキットの敷地内にテントを張り、家族や愛犬とバーベキューやキャンプを楽しむファンもいる。専用チケットを持っていれば、レース前のグリッドを歩いてドライバーと同じ目線で臨場感を味わうこともできる。
老若男女を魅了するSUPER GTの第5戦は、8月29~30日に鈴鹿サーキットで行われる。後半戦の戦いに注目だ。