2014.11.5 06:13
携帯電話大手3社の2014年9月中間連結決算が4日、出そろった。同日発表したソフトバンクは、関連会社の中国電子商取引最大手アリババ集団の米国上場が寄与し、最終利益を前年同期比36.7%増の5607億円と大きく伸ばした。新料金プランの影響から減収減益に沈んだNTTドコモは、中間期として過去最高の営業利益を上げたKDDIに通期で抜かれ3位に転落する見通しだ。
ソフトバンクの孫正義社長は「ネット関連企業にこつこつ投資してきた成果の表れだ」と決算会見で胸を張った。アリババ上場に伴う保有株の含み益は7兆円に上り、中間決算で持ち分変動利益を5631億円計上。足元の急激な円安も、傘下に多くの海外企業を抱える同社にとってプラスに働いている。
今後の海外投資の焦点は、中国とともに「世界の2大経済圏に成長する」と読むインド。10月には同国のネット通販大手スナップディールに約680億円投資して筆頭株主になると発表、今後10年間で1兆円規模の投資を行う。
通期の営業利益予想は、昨夏買収した米携帯大手スプリントの経営再建に時間がかかるとして、当初比1000億円減の9000億円に下方修正。売上高8兆円の予想は据え置き、最終利益見通しは公表していない。
一方、KDDIの中間期の営業利益は10.7%増の3847億円と過去最高だった。携帯電話と光回線の「セット割引」を武器に100万件以上の契約純増ペースを維持した。通期の営業利益も7300億円と2期連続で2桁成長を達成する見通し。
これに対しドコモは、6月に導入した定額通話プランで料金収入が大きく落ち込み、“一人負け”の格好。挽回(ばんかい)に向けて、NTT東西の光回線とのセット割引を来年2月に開始する計画だ。
ただ通期の営業利益予想については23.1%減の6300億円と当初比1200億円下方修正した。7000億円を切るのは米国会計基準を導入した01年度以来初めて。ソフトバンクに続きKDDIにも抜かれる見通しとなった。
携帯大手3社の2014年9月中間連結決算(売上高/営業利益/最終利益)
ソフトバンク 4兆1043(57.9)/5966(▲19.1)/5607(36.7)
NTTドコモ 2兆1729(▲1.2)/3995(▲15.5)/2595(▲13.6)
KDDI 2兆1319(3.8)/3847(10.7)/2313(41.9)
※単位は億円、カッコ内は前年同期比増減率%、▲はマイナス