2014.8.23 05:00
■大学と病院の一体化で教育の質高める
--聖路加看護学園から聖路加国際大に今春変わった
「これを機に聖路加国際病院を大学の付属施設とした。看護教育の一体化を図ることで、教育の質を高める。4月から臨床実習の期間を延長して、単位を23から34に増やした。病院で働きながら看護教育の修士課程を2年間学ぶことができて、修了後は病院で実習に来る学生を教えるスタッフとなる制度も導入した。シミュレーション教育の充実なども進めている。大学と病院で重複していた図書館や事務部門などを一緒にして、効率化を図ることも一体化の狙いの一つだ」
--看護以外の分野での取り組みは
「公衆衛生大学院を設けたい。米国留学中に1年間、ハーバード大公衆衛生大学院に通い、米国の臨床研究の質が高い理由が分かった。文部科学省と話を進めており、2年後に教員30人規模でスタートしたい。教員も学生も海外から優秀な人材を招き、国際大学にふさわしい大学院を目指す」
--メディカルスクールを創設する構想もある
「4年生の大学を出た人が対象となるが、米国のメディカルスクールは入学時に成績だけでなく、医師になりたいという人を重視する。日本は成績だけで決まるが、医師としての心持ちに欠ける学生もいる。大学を出て社会が分かり、本気で臨床医になりたいという心積もりができた人を教えたい。日本では法律上認められていないが、優れた臨床医を養成するにはメディカルスクールが必要であり、モデル的に導入させてほしい」
--大学が大きく飛躍しようとしている
「変えるのが私の仕事。ずっと同じでは時代遅れになるだけだ。病院も大学も、一人一人も変わらなければ駄目。教育界の動きにフレキシブルに対応していかないと、リーダーシップを取ることができなくなる」
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【プロフィル】福井次矢
ふくい・つぐや 京大医卒。1976年聖路加国際病院に入り、84年ハーバード大公衆衛生大学院修了。国立病院医療センター(現国立国際医療センター)厚生技官、京大医学部教授などを経て2005年聖路加国際病院院長、12年聖路加看護学園(現聖路加国際大学)理事長。高知県出身。