新型iPhone関連で工場フル稼働 過度のアップル依存に警戒する動きも

2014.8.12 07:04

 米アップルが9月にも発売する新型「iPhone(アイフォーン)」の部品について、国内の液晶パネルや半導体、電子部品メーカーがお盆休みを返上して増産態勢に入った。

 アップルによる初期の部品発注数は昨年発売したアイフォーン5cと5sと比べて3~4割多いとみられ、各社の工場はフル稼働となっている。

 複数の米メディアによると、アップルは9月9日に発表会を開催し、同月中にも発売する見通しだ。同社は部品メーカーに対し年末までに7000万~8000万台の製造を通達したもようだ。

 新型のアイフォーンは画面サイズが大型で、4.7インチと5.5インチの2機種の見込み。液晶パネルでは、ジャパンディスプレイ(JDI)とシャープがアップルから受注したとみられる。

 JDIは茂原工場(千葉県茂原市)と能美工場(石川県能美市)のアイフォーン専用のラインをお盆休み中も稼働させる。シャープも「すでに7月から亀山第1工場(三重県亀山市)で生産を始め、稼働率は9割超」(関係者)。今月は休日返上で生産を続ける。

 半導体では、スマホのデータ保存用「NAND型フラッシュメモリー」を製造する東芝が「7月から生産を始めた」との声もある。また、ソニーもスマホのカメラ画像処理用半導体「CMOSイメージセンサー」が採用されたもようだ。東芝は四日市工場(三重県四日市市)、ソニーは長崎と熊本の工場を今月は休日返上で動かす。

 電子部品では、TDKが回路電流を調整するインダクター、アルプス電気がカメラの焦点制御用部品、村田製作所が無線LANなどを受注したもようだ。

 各社とも、すでに生産を開始しており、新型アイフォーン向けのラインは、お盆期間中も稼働を続ける。

 アイフォーン向け部品の増産で、各メーカーは工場をフル稼働しているが、一方で過度のアップル依存を警戒している。

 2年前に発売したアイフォーン5は売れ行きが悪く、アップルから減産を通達され、業績悪化を招いた会社も多くあったからだ。このため、取引するスマホメーカーを分散する動きが強まっている。

 さらに、世界のスマホ市場は、アップルと韓国のサムスン電子の2強が4~5割のシェアを握るが、ここに来て、中国メーカーが急速に追い上げている。ある電子部品メーカーの幹部は「アイフォーン向けの受注はうれしいが、中国メーカーとの取引も拡大しないと今期は減収になる」と危機感を強めている。

閉じる